お知らせの記事
身体的拘束最小化宣言
患者の意思や生活背景に丁寧に耳を傾け、身体的拘束に代わる手段について検討を重ねます。
安全と尊厳の両立を意識し、「拘束に頼らないケア」を日常の実践として積み重ねていくよう努めます。
2026年4月1日
原田病院 院長 原田 知明
身体拘束適正化のための指針
1. 身体拘束の適正化に関する基本的な考え方
身体拘束は患者の権利である自由を制限するのみならず、身体的・精神的に 弊害を伴う。したがって、身体拘束を行わないことが原則である。
当院では、患者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく、職員一人ひとりが拘束に向けた意識を持ち、緊急・やむを得ない場合を除き、身体拘束をしない診療・看護の提供に努める。
2. 身体拘束廃止に向けての基本方針
①身体拘束の原則禁止
当院は患者または他の患者等の生命または身体を保護するために、緊急をやむ得ない場合を除き、身体拘束の実施を禁止する。
- 徘徊しないように車いすやいす・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 自分で降りられないように、ベッドを4点柵(サイドレール)で囲む。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限する三トン型の手袋等をつける。
- 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
- 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
- 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
- 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひもで縛る。
- 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
- 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
「身体拘束ゼロへの手引き(平成13年3月厚生労働省)」
②緊急やむを得ず身体拘束を行う場合
1.緊急やむを得ず身体拘束を行う要件
患者または他の患者等の生命または身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は、次の3要件をすべて満たした場合に限り、必要最低限の身体拘束を行うことができる。
【切迫性】患者本人または他の患者の生命または身体が危険にさらされている可能性が著しく高いこと
【非代替性】身体拘束を行う以外に切迫性を除く方法がないこと
【一時性】身体拘束が必要最低限の期間であること
2.緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の説明と同意
- カンファレンスの実施
上記3点については医師・看護師を含む多職種で検討・アセスメント を行う。医師は身体拘束の指示を出し、身体拘束申請書を記入する。 - 本人・家族に対しての説明
身体拘束についての理由・内容・時間帯・改善に向けての取り組み等 を説明し同意を得た上で実施する。 - 記録と再検討
経過観察中は事実を詳細に記録し、適宜カンファレンスを行う。 - 拘束の解除・再開
記録・検討結果にて、継続が必要がなくなった場合は、速やかに解除 する。ただし、一旦解除されても再度必要とされた場合には、経過報 告承諾のもと、再手続きなく対応の実施を行う場合がある。
③身体拘束等禁止の対象とはしない具体的な行為
肢体不自由や体幹機能障害があり残存機能を活かすことができるよう、安定した体位を保持するための工夫として実施する行為については、その行為を行わないことがかえって虐待に該当することとみなす。
- 整形外科疾患の治療であるシーネ固定等
- 手術創の感染、膀胱カテーテル、各種ドレーン等を抜去回避のための介護服の着用
- 精神運動興奮(認知障害、見当識障害、術後せん妄など)による多動・不穏が強度であり、治療に協力が得られない場合の向精神薬の使用
(薬剤使用については院内規定があり、医師にて指示を出している)。 - 自力座位を保持できない場合の車いすベルト
- 転落防止のための4点柵の使用
(以上いずれかの状態にあり、状態・内容を検討した上で、目的を明確にし、医師記録・看護記録に記載する。)
④身体拘束等を行わずにケアを行うために
1.身体拘束等を誘発する原因の特定と除去
必ずその人なりの理由や原因があり、ケアする側の関り方や環境に問題があることも少なくない。そのため、その人なりの理由や原因を探り、除去するケアが必要である。
2.基本ケアの徹底
- 起きる
起きることを助けることは人間らしさを追及する第一歩である。 - 食べる
人にとって食べることは楽しみや生きがいであり、点滴や経管栄養が不要になる。食べることはケアの基本である。 - 排泄する
なるべくトイレで排泄してもらうことを基本に考える。おむつを着用 している人については随時交換が必要である。 - 清潔にする
皮膚が不潔であることがかゆみの原因にもなり、そのため、大声を出 したり不眠となり不穏につながることもある。保清を適宜行う必要が ある。 - 活動する
その人の状態や生活歴にあったよい刺激を提供することが重要である。
その人らしさを追及する上で心地よい刺激が必要である。
3.身体拘束等適正化のための組織
①身体拘束等適正化委員会の設置
身体拘束等の適正化のための対策について、病院全体で情報を共有し、今後の未然防止及び再発防止につなげ、身体拘束等の適正化に取り組むため、『身体拘束等適正化委員会』を設置する。
- 身体的拘束等の適正化のための指針の整備
- 身体的拘束等の適正化を目的とした職員研修の企画・推進
- 身体的拘束の必然性
- 身体拘束等の事例の集計・分析
- 身体拘束等の適正化策の検討、実施及び実施後の検証
- やむを得ず身体拘束を行った場合の記録(態様、時間、患者の心身の状況、緊急やむを得ない理由)の整備状況の確認等
- 職員への周知
②身体拘束等適正化委員会の構成員
委員会は、院長、医師、事務長、看護師、薬剤師、セラピスト、社会福祉士、事務員で構成する。
③委員会の開催頻度と記録
- 委員会は3ヶ月に1回開催する。
- 必要な場合は、その都度開催する。
- 委員会の会議内容を記録する。
4.身体拘束等の適正化にための職員研修
身体拘束等の適正化の職員研修を、原則年1回以上開催する。
5.その他、身体拘束等適正化の推進のために必要な方針
全職員が共通認識のもと、身体拘束を行わない状態の実現を目指すため、様々なケアに努め事故の起きない環境整備を提案し、職員間での柔軟な体制を確保するとともに常時、代替案がないか工夫や情報収集に努め改善を推進 するものとする。
附則
この指針は2024年8月1日より施行する。
改訂
2026年4月